ウルトラマンブレーザー第12話「いくぞブレーザー!」感想
いよいよブレーザーとゲントの目的が一致して、戦えるようになってきましたね!
防衛隊内のこれまでに登場した人たちも総出演で、まるで最終回のような熱い展開、燃えずにはいられませんでしたー!!
一方で、各所に不穏な空気を残して次回以降への期待感も忘れない流石の構成、さてどうなるのやら。
これまでの積み上げを生かした作戦
1話の特機団の面々、5話の武器開発者ヒラノさん、叱咤しながらも裏方で人を繋げるハルノ参謀長、と防衛隊側で出てきてくれた面々の再登場。
9話のガラダマ(チルソナイト製)、5話のメガショット、勿論通常武装の23式電磁小銃にアースガロンのアースガン・アースファイア・レールガン(Mod.2)と兵装もこれまでの総括と言っていいほどの大盤振る舞い。
振り返れば振り返るほど、これまでの積み重ねを実感できる最高の展開でした。
え、これで最終回でないの!?
ありがとう!まだ楽しめる!
また、再登場した人々にSKaRD側が「お久しぶりです!」とか「頼むぞ!」とか言ってるのも、これまでの絆を感じられて最高。
特に特機団とゲント隊長の会話の軽妙さ、もっと言えば直前まで会話していたアンリ・エミとのテンションの差が絶妙だ。
きっとゲント隊長の中でSKaRD=俺が率先して行くべきチーム、特機団=命を預けた&預かったチーム、違いがまだあるんだろうな。
まあ、共に過ごした時間も乗り越えた死地の数も違うだろうし当然か。
作戦も劇中会話のある通り、1話とは逆に特機団(とSKaRDMOP)が誘導係。
でも怪獣の足元まで近づかないといけないとは、特殊部隊は命がいくつあっても足りない仕事だわぁ。
そしてアースガロンは改造メガショットを器用に構えて待機。
他の人の感想見るまで気が付かなかったけど、完全にヤシマ作戦を彷彿とさせる構図。
(とはいえウルトラマンシリーズではロボットではなくとも、怪獣を誘導して狙撃は結構あるシチュエーションなので、まあ、気づかなくても当然っちゃ当然なのでは)
エミさんの運転技術もすごいし、アンリさんは首を痛めて右腕吊ってるにも関わらず精密狙撃を成功させるしで、参謀長肝いりだけあってSKaRD隊員の基礎能力が大分ヤバイ。
練習無しにも関わらずメガショットを使ったチルソナイトスピアを一発で狙いのEMP発生器官に打ち込むヤスノブさんも、8話でMod.2投入を渋っていた人とは思えないほどの成長を感じさせる。
まずEMP攻撃を受けたのに数十時間(と予想)でアースガロンを再稼働させる整備班が変態組織だよなあ。
ゲント隊長とブレーザー
先週の予告から期待していた今回の目玉は、やはり「行くぞ、ブレーザー!」にどう繋がっていくのか、というところでしょう。
ハルノ参謀長に「あのような得体の知れないものに縋ってどうする!?」と言われたことも関係したのか、11話と違ってとうとうブレーザーストーンをロッカーに置いていく判断をしたゲント隊長。
少なくともゲント隊長からブレーザーへの心の距離は過去最高に離れている、というのをひしひしと感じさせてくれた。
ところが、EMPを封じされてもまだ強いゲバルガに押されるアースガロンを見て、思わずいつものポケットを漁ってしまう。勿論、何も手に当たらない。
(結構、歴代シリーズの中には「欲しいと願ったらいつの間にか懐に戻ってました」パターンも多かったと思うけど、ブレーザーくんには瞬間移動系能力は無いらしい。)
この状況でなおも電子小銃のみで突っ込もうとする所が、ゲント隊長らしいというかウルトラマン主人公らしさを感じました。
そして、ブレーザーはゲント隊長に呼びかける。
ブレーザーはやっぱりまだ自分の日本語(地球語)は持っていないということで、ゲントの記憶に呼びかけて自身の願いを伝えようとする。
この伝え方、最高に好き!言葉では伝わらないけど、記憶を繋いでブレーザーの感情や狙いを分からせようとするの、新しいよね。
そして10話のいざこざ、11話のいざこざ、10話のシュンくんの言葉、1話の特機団との会話、再度11話のいざこざ(回避行動)を見せることで、「ゲントを帰還(生還)させようとした」のが漸く伝わる。
前回は「早く逃げろ!」だったが、今回は「いっただろう、全員、無事に帰還する」を使ったところが成功したポイントでしょうか。
内容は(ほぼ)どちらも『同士を見捨てない』ということなんですけどね。
多分、ゲント隊長は逃げて!と言われるより助かって!と言われた方が生きるための行動ができる人なんですね。
ここまで如何にブレーザーがゲント隊長の生命を大切にしてるかを見てきたわけですが、この作品の上手いところは特機団やSKaRDも十分ゲント隊長を大切にしていることを見せてくれているところ。
特機団メンバーに無茶するなと言われたり、エミさんに「行かない!」と言われたり。
遡ればテルアキ副隊長に8話で「あなたにそれ(恩師への射撃)ができるんですか」と心配されていたり。
更に回想は3年前の岐阜の研究所の事故へと遡る。
ここでは新たに、ブレーザーの記憶と思われるものを見ることになり、ブレーザーも命を救おうとしていたことに、ゲントと志は同じことに気が付く。
志が同じである⇒戦う目的が一致するとなり、とうとうゲントは自らの意思でブレーザーブレスを出現させることになる。
そしてストーンはロッカーを飛び出し、部屋の壁を盛大に破壊してゲントの元へ。
ここからの戦いはもう、BGMも含めて最高!(今回何度目やねん!)
チルソナイトスピアを電撃を食らいながらも引き抜こうとすることでガラモンストーンが新たに生成され、そこからチルソナイトソード爆誕。
いつもの儀式も『神から授けられた宝剣に感謝の意を表す』かのように見えて、厳かで美しい。
BGMもアラビアンな新規の曲調で、状況変化が分かりやすく表れる。
かと思えば、その切れ味に両足ぴょんぴょんではしゃいじゃうのがギャップ萌え。
戦闘シーンもこれまでのブレーザーらしさを、野性味という点でも神秘性という点でもしっかり出し切っていて大満足でした。
あえて一つ。
前回は「ゲントの記憶を見せる」だったのが今回「ブレーザーの記憶を見せる」に深化していること。
ブレーザーブレスをゲントの意思で出せるようになっていること。
着実に二人の融合は進んでいますね……。
ゲント隊長の人外化はまだまだ始まったばかりだ。
ハルノ参謀長
冒頭、ハルノ参謀長による心の重くなるキツイ説教シーンから始まる。
でもここ、大人であればあるほど、全く的外れなことを言っていないと分かるんですよね。
私の息子には辛いシーンらしく初回以降飛ばしてみてますが。
更に、怪獣撃滅という分かりやすい成果がないためにSKaRDの存在意義に疑問視されていると伝えているところも、表現からしてハルノ参謀長自身はそう思っていないこと、むしろヤキモキしていることが感じられる。
2話の無茶ぶり以降どちらかというと嫌なキャラ判定だった参謀長ですが、判定がフラットになったシーンだったなと思う。
更に、次々と新たな手段がSKaRDのもとに集まり、思わずエミ隊員が疑問視するも、ゲント隊長が「偉い人の根回しが利いてる」と予測し、実際直後にハルノ参謀長から源川稔司令官へ計画具申している場面が入ることで偉い人≒ハルノ参謀長クラスと分かる。
このことから、ただ単にSKaRDへ忠告を言うだけではなく、必要な組織を繋ぐ=管理職としての仕事をきっちりやりこんでいることも分かり株価急上昇。
でもこれだけで終わらないのが今回。
作戦終了後、司令官が去ったことを確認してから徐に携帯電話を取り出し、「セカンドウェイブ、退けました」と誰かに報告する。
セカンドウェイブって何だよ!?お前どことつながってんの!?
って、初見では思ったよね、正直。
ここで思い出される1話のタイトル「ファースト・ウェイブ」。
てっきりウルトラマンブレーザーが地球上に初登場したことを指す言葉なのかと考えていたが、今回=セカンドであることと退けたと表現したことから、あれは怪獣のことを刺していたようだ。
(ネット上では一周回って逆にウルトラマンのことを~とかいう意見も見ているが、個人的には怪獣説を推す。)
そこで、1話のバザンガと今回のゲバルガの共通点。
まず、二つ名に「宇宙」と付いていること。
確か以前、宇宙出身なのにガラモンには宇宙と付いてないな~とか、実は宇宙と付かないけどタガヌラーも外から来たのでは~とか書いたような気がするが、寧ろ重要なのは「宇宙」と付いていることだったようだ。
あとは、体のカラーリングに赤と青が入っていること(らしい、私は気が付かなかった!)
でも色については、ゲバルガが球体=色確認できない段階から攻撃していたし、関係あるかよく分からないと思ってる。
つまり、私にはほとんど共通点が分からない!何をもって○○・ウェイブにカウントしたのか、今後要注目かも。
また、1st・2ndときたらやはり3rdや4th、更にはファイナル・ウェイブ(もしくはラスト・ウェイブ)がありそう。
今作の大きな流れはこの○○ウェイブに対抗する地球防衛隊という図式でファイナルアンサーかな。
それに、もし3rd以降も予見されているのなら、どうして知っているのかも気になるところ。
ウルトラマンネクサスの来訪者のような外部からの情報提供か、エヴァンゲリオンの裏死海文書のような預言書があるのか。
未だ謎の、防衛隊機密資料にあったV99との関連も疑われる。
さらにハルノ参謀長の電話報告先はこれらと関わりのあるところだよね、きっと。
後半戦も楽しみ!
ゲント隊長の弱い(?)ところ
ゲント隊長というと、1話から一貫して(ちょっと自ら行き過ぎだけど)行動力SSコミュ力SS家族関係SSユーモアSSと完璧じゃないところも含めて非の打ち所がないほど防衛隊員として優秀な人物だと思う。思うのですが。
12話を見ていた気になった、ゲント隊長の足りない(なんと表現するのが適切?)ところが二つ。
1:3年前の記憶が実は殆ど無いのではないか
2:物事の裏側にあまりにも疎いのではないか
1:3年前の記憶が実は殆ど無いのではないか
12話で詳細が若干明らかになった例の3年前の出来事。
岐阜の研究所だったようですね。
ウルトラマン×岐阜の研究所と言えば!ウルトラマンガイアのプロノーン・カラモス!
モデルは有名なカミオカンデですね。
国内でも有数の”光”を捉える研究施設というところから、今回もここのことを想起させられたけど、どうかな??
と、話が逸れた。
この3年前の回想、ゲント隊長は毎回、階段を使って下へ避難誘導→あるフロアで強い光を見、その中に人がいると勘違いする→早く逃げろと手を伸ばす、を思い出す。
あんな強い光を見る体験なんて滅多にないしなぁぐらいに考えていたが、今回元部下との会話中に思い出しているゲント隊長の表情などを見るに、その次の記憶は知らない天井、もとい病院とかなのでは?
元部下みんながいう「あのとき」に全く心当たりがなさそうにしているし、ゲント隊長の中では3年前のことは普通の記憶の一つ位の位置づけだった?
振り返ると、1話のユリシーズや2話のアンリさんに「噂の」と言われていたが、本人全く噂のことを知らなそうだし。
更に、現状開示されている情報ではあの特機団の面々すらビビったというのがちょっと納得感薄い。
確かにあの強い光に飛び込む姿は周囲をビビらせるだろうが、あの時、”他の防衛隊員は傍にいなかった”んだよね。だから、ビビったのは他の理由。
更に怪しいのが、ゲント隊長の履歴書に3年前の事故のことが載っていないこと。
怪獣が関係していなかっただけとも考えられるが、あれだけ防衛隊内で有名な出来事が載っていないのは、裏を感じる。
くしくも次回予告で「記憶」と「記録」について触れられているので、次回は総集編と見せかけてゲント隊長と3年前の事故について問題提起されるのかも!
2:物事の裏側にあまりにも疎いのではないか
これは次のエミさんとの対比になるところではあるが、ゲント隊長はあまり”疑う”という考えを持っていないようだ。
実際、任務遂行時に余計なことを考えるのは危険で、目的を正しく認識したうえで指示を正しく遂行することが何より特機団には求められる。
この点で、ゲント隊長は本当に理想的な現場監督(隊長)だ。
一方で、ここから先または上に進むということは、いわゆる管理者側の考えや物言いを理解する必要があり、文字通りではないことも多いはず。
相手の真意を把握する過程では疑うことも重要。
例えば4話で曽根崎が元防衛隊であること(エミですら把握していなかった情報)を「チャチャっと」持ってきたこと。
あの時点ではまだゲント隊長の人柄が分かっていなかったので、こんなことまでできちゃうの……!と驚いただけだったが、ここまで見てきた限りゲント隊長って決して情報収集に長けている人ではない。
誰か他所からの一方的な情報提供があったのでは?
実はそれが、先のハルノ参謀長の電話相手だったり底とつながる人物だったり。
1話での特殊弾の照射位置も「お偉いさんの伝言ゲームでずれた」と安易に決めつけ深く考えない。
今回のお膳立ても「偉い人の根回しが効いてる」と好都合だ程度の感想で、なぜこんなにもスムーズなのか疑わない。
また、周囲に「例のゲント隊長」と言われていてもこれまで気にしていなかった。
これも、”「例の」が何か知らないが作戦遂行に支障はないし、寧ろみんなが俺の意見を優先してくれてラッキー”ぐらいにしか考えていなかったのかも知れない。
エミ隊員の反応
今回見ていて気になったのが、エミ隊員の「なるほど?偉い人の……」という発言。
一見すると上層部の隠れた有能さを示すための誘導台詞のように見えるが、この時の言い方や表情には演出のこだわりを感じた。
具体的には、”納得できなくもない理由だけどそれで片付けられることか?”とか”ゲント隊長は2話に続いてそう解釈するのね、私は違うけど”といったニュアンスに見えた。
従来、4話で発言のある通りエミさんは偶然なんてないと考えるリアリストで上層部の横やりを嫌う人。
また2話で明らかになったことだが自身の情報「バザンガの鼻の穴に特殊弾を撃ち込む」が現場には誤って伝わっていたことに疑問を感じている。
そしてこう振り返ると、1話で伝言ミスするような組織が12話で恐ろしいほどスムーズに次の効果的な作戦立案(のための材料提供)できるだろうか。
この疑問はエミさんももっていそう。
そして(劇中で描かれていないが)17歳から見てきた経験をもとに、バザンガのことは”あえて”正しくない情報を流した、ゲバルガは被害がシャレにならないため迅速に作戦の駒をそろえた、それができる”裏方”がいる、と考えていそう。
いや、私がそう考えていて、それをエミさんに勝手に投影しているだけだろうけど(笑)
でも、折角の「情報部隊」出身にして飛び級するほどの天才、これから視聴者が予想もしていなかったような情報=ネタを提供してくれると期待してる。
また、当初私は最終的にエミさんをウルトラマンの正体を明かす人、ゲントと敵対する人と考えていたが、どうも違いそう。
今回ゲント隊長に「隊長は後ろでふんぞり返ってるくらいがちょうどいい」というなど、何でも「俺が行く!」で突っ走るゲント隊長をしっかり引き留めている。
もっとドライに諜報活動の一環としてSKaRDにいる、というような立ち位置では出てこない発言だろう。
即ち、エミさんはいざというときにこれまで自分の見てきた・感じてきたゲント隊長を、ひいてはブレーザーを信じてくれそうだ。
ここは一見似た立ち位置であるシン・ウルトラマンの早見さんとは(過ごした時間も含めて)大きく異なってくるんじゃないだろうか。
最後に
今回ブレーザーでは初めて、本編に無いシーンがエンディングが使われた。
ハルノ参謀長にこってり絞られた後のシーンとのことだが、
声 付 き で ぜ ひ 見 た い !!
未公開シーン集とかディレクターズカット版とか出ないかなあ。