ウルトラマンブレーザー第20話「虫の音の夜」感想
念願の副隊長メイン回その二!
終盤前ということでSKaRDメンバーのトンデモ姿も見れつつ、テルアキ副隊長の人柄がますます深掘りされた最高の一話でした!
今週のSKaRD
冒頭から笑わせに来るSKaRD(と監督)
次回予告である意味最も目を引いた、謎のコスプレ姿ヤスノブ。
冒頭早速その答え合わせが来たが、まさかあんな棒読みゲント&アンリと、流石の潜入捜査歴で完璧な演技のエミさんが来るとは思わないじゃないですか!
ヤスノブはもうアドリブ入れまくる(?)ほどはっちゃけてるし。なんですか「小文字のa」と小さく添える感じは。
しかも、こういうところで張り切りそうなテルアキさんは演じてないし!
※追記:と思いきや、この劇の作・演出が名倉輝明でした!ものすっごく力入ってました、なんなら怪獣の雌雄まで決められてたり細かいな!
テルアキ副隊長はどんな役回りだったんだろう、怪獣役かな、MCのお兄さん役かな、猫のタマ役かな(笑)
特殊部隊に憧れのあったっぽい(第二話参照)アンリさんはご立腹だけど、ゲント隊長は上からの命令には逆らわない(逆らえない。)
一方で、緊急通報に対してはアタフタするアンリ・ヤスノブと違ってマニュアルに書いてある非常手段を即座に決行するゲント隊長。
この割り切り方がとってもデキる大人でリアル。
中盤に出てくる、服装バッチリで役になりきったSKaRD(一名除く)も、もう可笑しい。
ゲント隊長まさかのコックさんだし、アンリさんはなぜか小学生コスプレが完璧だし、エミさんは昭和のお母さんだし!
この完璧な衣装、さてはエミさんのコスプレ趣味が反映されてるな!?
残念ながら劇もとい「怪獣が出た時の対処法講座」は第一回をドタキャンし、代わりに全47都道府県を回ることになった。
これ、どう考えても現実的な指示じゃないよね。
怪獣が現れた際にSKaRDメンバーが一人もアースガロンの側にいないのは待機状態として間違っているし、逆に講座のために会場近くに毎回アースガロン連れて行くのも予算が許さないだろうし。
上層部はアースガロンをもはや戦力とは見なしていない?
でも次回予告でアースガロンMod.3来るしなあ、どう考えればいいんだ……。
こういう時の必殺技
緊急出動したいSKaRD、けれどこれまでと異なりおそらく独自に行動する権限(第3話参照)がはく奪されている。
そこでゲント隊長がとった行動とは!?
……事後承諾だ!(笑)
これ子供に受け難いだろうによく入れるよ。
またこの時のゲント隊長の悪い顔がイイ!急にハート様@仮面ライダードライブ感が出たな。
しかし、すぐに出撃を決めたからこそ、テルアキ親子の危機に間に合った。本当に良かった。
ズグガンの森からの脱出
数秒のシーンだが、どこから怪獣が出てくるか分からないために民間人を囲みながら退避するSKaRD。
4人で四方をしっかり囲みながら移動するのが、本職らしくて好き。
作戦会議
名倉家の一室を借りて作戦会議をするSKaRD。
普段のSKaRDCPと違ってアナログな地形図と家にあった置物で対応していくのがいい。
怪獣=赤べこだし、アースガロンは小さいシーサーだし、小物がいい仕事してますわあ。
撃ち漏らし防止班
うぞうぞいるズグガンは、鳥肌モノでした。
虫嫌いのアンリさんには卒倒するほどきつかっただろう。
それを目にする機会を減らしつつ空手有段者の運動神経を生かすため、地元に明るいテルアキ副隊長と後衛に回ったが、結果として巣に生身で(アースガロン搭乗せず)突入することになった。
あの気色悪い色の粘液も吹きかけられる始末。
本当に今回、影のMVPはアンリさんに送りたい。
地元の名家、名倉家
突然の「父が倒れた」連絡により、急遽山梨の実家に帰郷したテルアキ。
しかし父は意外と元気、しかもこれ幸いと見合い話が飛んでくる。
あらすじ紹介では「父の噓」となっているが、作中のマサアキ(テルアキの兄)の発言によれば、心労で倒れたのは実際にあったことであくまで嘘はついていない(症状や年齢によっては大事になってた)のがいい。
周囲の人に「テルちゃん」と呼ばれていたり、怪獣出現で名倉家が一時避難所になってたり、名倉家が地元の名家であることも周囲に愛されていることも分かる。
これまでの話で度々実家から野菜が送られてきていたのも、納得。
SKaRDで見せるテルアキの誠実な姿が、この家に由来するんだろうなと感じられるのが好き。
テルアキの母は既に亡くなっており、恐らく結婚しているであろう長男・マサアキの奥さんが家の切盛りしているのかな。
田舎だしもし縁談の話をするなら年齢順のはず、という推測で。
実家組とテルアキとの微妙な距離感
確か8話でニジカガチ出現の事後調査に実家帰ってるんだよね。
数年顔をみせなかった~ではないけど、父や兄にとっては『あわただしく帰ってきてろくに話さず日帰りしちゃうテルくん』だったのかな。
テルアキの中の父も若い頃のはっきりモノを言ってくる父で時間が止まっていたようだし。
そのぎこちなさが、森の中での見回りシーンで無言ながら現れているのもいい。
一方で、父の気持ちを代弁する兄。
恐らく普段、よくぼやいているんだろうな。
ここぞとばかりにテルアキに伝えるのは、言葉にしないがテルアキの離れている間に父も年を重ね心労で倒れる程度に弱ってきているのを隣で見ているからこそだろう。
この距離感や役の在り方がとても好ましい。
防衛隊の仕事への理解
「農家の次男坊が自衛隊所属」はそれこそ一昔前にはよくあった話。
でもテルアキは幹部候補生として学校に入れてもらえているので、またニジカガチ他で見せてるように怪獣への思いが強いので、自ら希望してこの進路を取ったとみられる。
「昔ははっきり伝えていた」とのことだから昔は父も反対だったのかも。
でも防衛大学校に行かせ、防衛隊への就職ができていることから最近まで反対はしていなかったと思われる。
しかし怪獣出現頻度が高まり、もしかしたら前回のゲント隊長の救出劇をTVで見て、sらに今回初めて身近に怪獣が出現し、その脅威に直面した父親。
こんな危ないことから離れてほしいと、とうとう面と向かって訴える。
たが、当のテルアキからの返答は、「この生き方をあなたから教わったんだよ。」
これ、親にとってはある意味本当に残酷な言葉ですよね。
『危険な仕事につかせた原因は、お前にあるんだよ』と言われているようなものだから。絶対に、テルアキ側にはそんな責める気持ちはないんだけど。
じゃあどう育てればよかったんだよと、これがウルトラマンでなければ、テルアキが主人公だったらそんな展開すら考えられるシーンだった。
ここから仕事するテルアキの姿を見ることになる父。
隊服に着替え、家で見せない顔で、専門的な話をする息子。
特に父や兄から明確な言及はないけれど、思うところがないはずがない。
怪獣退治後、防衛隊として地元の有力者に今後の調査協力を依頼するテルアキ。
それに地元の有力者として応える父。
仕事を一定程度認め、社会人として対応しているのが、その後の土おこしの場面を見るに、完全に認めたとも違うように思う。
そして被害少なく済んだ自分の土に泣きながら「あいつが守ってくれた土だ」と言う。
たまたま帰省し、通報に内部者として優先的に対応してもらえたからこその現状。
家族として父としては一生割り切れないかもしれないけど、本人の希望する”人の役に立つ仕事”を認めていこうという姿に見えて、感動した。
私自身が30代で実感としてあるせいか、無駄に解像度高く見てしまった。
同時に、解像度高く見れる映像&役をありがとうございます。
テルアキ副隊長
役者さんの解釈もあって既にこれまでの19話&怪獣アカデミーで魅力的な登場人物として個性の光っていたテルアキさん。
今回実家やオフ?の様子も描かれて益々気になる登場人物になった。
見覚えの無い洞窟を発見して、不用意に近づくのではなく望遠でスマホ動画撮影するのが現代っぽく上に怪獣に対処してきた人間らしくてよいし、突然怪獣がアップになったと思ったら予想以上に近寄られてしまっているのもスマホ撮影あるあるで最高。
あくまで「父が倒れた」で向かったこともあり防衛隊所属ながら丸腰でピンチになるのも感慨深い。
(もっとSKaRDの生身アクションシーン増えてほしい願望も一方であるけどね!)
「この生き方をあなたから教わったんだよ」というシーンも、”だから父には息子の生き方を認めてほしい”という気持ちが籠ってて好き。
上で述べた通り受け取り方によっては、本当に残酷だと思うんだけどね。若い頃には感じえなかった感想だ。
怪獣に向ける眼差し
ではどんな生き方を学んだのか。
極端に言えば、SKaRDでみせるテルアキ副隊長の基本姿勢そのものなんだろう。
怪獣も一体の生物と捉え生態を予測し、人に不都合な部分をあぶりだし、可能な限り共存の可能性を探る。
今回も結果として、ズグガンの出す音の意味を推測し対処に役立たせ、卵を破壊するときに「すまない」と謝る。
宇宙怪獣はともかく地球怪獣はこれまで共存していたわけだし、時間があれば『なぜ地上に出てきたのか』『地中深くに戻す方法はないか』『地中でどのような異変が起こっているのか』など根本原因を明らかにしたり共存の道をちゃんと探ったりできただろう。
SKaRD内でもそのことを一番強く考えているのが、ナグラ・テルアキという人物だ。
ひいてはウルトラマンシリーズ全体で取り上げる永遠のテーマともいえる。
だから私は、テルアキ副隊長もウルトラマンシリーズも好きなんだなあ。
ズグガン
地中の窒素を根こそぎ持って行ってしまう、典型的な害虫系怪獣のズグガン。
これまで未確認だったことから本来は地中で土から窒素を得ていたと考えられるので、その生態だけではなぜ畑の柵を壊して侵入したのかちょっと分からないが、枯れた植物が残っていたということは元気に成長していた=窒素を十分蓄えた植物から窒素を得ようとしたのかな?
人里に害をなす様子や普段は森の中にいるところは、現実問題の熊対応を彷彿とさせる。
本当に今作、時事ネタっぽい問題扱ってていいなあ。意図的か偶然か分からないけど。
幸い小型(と言っても人間並み)のズグガンは23式電磁小銃一発で無力化出来るけど、その粘液は厄介そのもの。
即硬化するし強度は核シェルター並み、実質破壊不可。
アースガロンは大型ズグガンに対して良いところなく退場。
虫由来のためか熱に弱かったのは不幸中の幸い、というか解除手段がなければマジで詰んでた可能性あったな。
(’いや逆に、ファードランくんが一体で大活躍する展開も見てみたかったな)
ファードランアーマー出現時の炎やファードランサーの炎で粘液を無効化。
巨大ズグガンはブレーザーが、卵や小型ズグガンは巣への突破口をと切り開くときも使った爆弾でSKaRDが対処。
一網打尽にできてよかった!!!
ところでアースガロンはどうやって動ける用になったのだろうか?
いやまず、ゲント隊長はどうやってコクピットから脱出できたのだろうか、謎。
追記:時間をおいて考えてみると、地中の窒素を独占するのは大変厄介な性質だし即硬化する粘液には退治の点で苦戦したが、実はこの粘液かなり有用と捉えることもできそう。
吐き出される=空気に触れることで素早く硬化するし、厚さにもよるだろうけどその強度は核シェルター並みなんて、最高に魅力的な新素材だよな。
恐らくブレーザー世界でこの粘液を活用する話は来ないだろうけど、将来またズグガンが再登場した時にそういう流れになったりしても面白そう。
現状の見解&今後の予想
SKaRDと防衛隊のすれ違い
予想通り、ガミガミ・ハルノ参謀長はその実、上層部とのクッション役を存分に果たされてきていた。
ハルノ参謀長謹慎で、上層部からの圧力が直接掛かってきたり怪獣つながりというだけで対策講座を開かされたり。でも本格的な変化はこれからだろう。
これに対してSKaRDもといゲント隊長は、今回ひとまず事後承諾のカードを切ったが悪手だった。
上層部側の人物も(放送上では)顔をみせず、意思疎通が出来ていないことを明示している。
今後来るであろう「どうにもならない事態」に、防衛隊がどう出るのか、SKaRDはどうかかわるのか、ゲント隊長の心労はどうなるのか。
さらにひた隠しにするV99はどう決着がつくのか、不安と期待でいっぱいです。
SKaRD内の情報差
予想通り、エミ・ゲント隊長は第66実験施設や3年前の事故を調査していることを、チーム内で共有していなかった。
ヤスノブたちからは、『前回と同様に待機命令出ていたけど前回と同様にアースガロンを使って対処したら、今回はハルノ参謀長が謹慎になっちゃった』という感じに見えているのだろう。
実態は、上記要素以上に『立入禁止区域に侵入し、屋根を動かすという大事をやったエミ隊員の責任追及』の側面が大きいのだが。
残り話数からしてSKaRD分裂の危機にまではならなそうだけど、なってもおかしくない位、実はSKaRD内でもコミュニケーションとってないよね。